人間力を高めるE

Empowerment

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日本人の成長課題 -日本人にとっての指針-

指針とは

辞書によると「物事を進める方針、てびき(広辞苑)」と定義されています。みずからの人間力を高めるセルフ・エンパワーメント研修では、下図(セルフ・エンパワーメント構造モデル)のように人間力を高めるためには、「主体性」と「指針」の2つが不可欠であるとのモデルをベースにしています。



                              *このモデルは主にビジネスパーソン向けに使用しています。

■行動
行動とは、主体性と指針をもとに、ビジョンを実現するための目標達成に向けた能力や日々の行いです。

■目標
目標とは、人生や仕事における具体的なゴールや目印で、内容・期限・達成基準などが含まれています。

■ビジョン
ビジョンとは、あなたの将来の夢や構想です。ビジョンはあなたが生きていくうえでの大きなエネルギーとなります。

■指針
指針とは、自らの行動を決定したり、コントロールしていくときのあなたの基軸です。
指針には長期的な生き方と短期的具体的な行動指針があります。

■主体性
主体性とは、あらゆる状況において、自分の意志、判断によって、自ら責任をもって行動する態度のあることです。

■身体
 身体はすべての基盤で健康であることが大切です。


1. 指針とは生き方で死に方である

「随想録(エセー)」の哲学者モンテーニューは、このことについて次のように言っています。
 「〈もしわれわれが着実に平静に生きることを知ったとすれば、同じように死ぬことをも知るであろう。哲学者はいくらでも、自慢するがよい。《哲学者の一生は死の考察である》と。けれども私の考えでは、死はたしかに生の末端ではあるが、目的ではない。終局ではあるが、目標ではない。生はそれ自身が目的であり、その目指すところでなければならない。生の正しい研究とは、生を整え、生を導き、生に堪えることである。この、如何に生きるかという普遍的な重要な事項には、いろいろな業務が含まれるが、如何に死ぬかという項目もそのひとつである。しかも、われわれの不安が死に重みを与えさえしなければ、きわめて些細な項目に属するものである〉」
 (堀田善衛『ミシェル 城館の人』集英社文庫「第三部精神の祝祭」)
よって16世紀の哲学者もモンテーニューの考え方によれば、生き方と死に方は同等で対等に表記されるものではなく、一般的には死に方は生き方を考えるときのひとつの項目なのかも知れない。

2. 指針とは主体性「自分の意志、判断によって、自ら責任をもって行動する態度のあること(大辞林)」の判断基準である。
人間力を高めるためには「指針」と「主体性」の2つが不可欠と冒頭に書きました。まさに「指針」を持っている人は、その判断基準で選択して生きているので主体的かも知れないし、主体的な人は自らの意志、判断するときの基準が不可欠なので指針を持っている。この2つは相互に不可欠なものと考えられます。
前号の日本人の主体性でも少し触れましたが、日本人が大人になっていくプロセスでは、子供の頃は親、会社に入れば上司と、自らが選択するのではなく親や上司の選択した線路の上を歩み、その結果が望む結果が出ないときにはその多くを親や上位者の責任に転嫁するといったことが数多く見られます。自らの考え方(指針)で選択するというより、親や上位者の指示で生きる傾向が強いのかも知れません。

3. 指針とは「ビジョン」や「目標」を設定するときの基本(ベース)となるもので具体的には行動指針となって表われる。
将来のビジョンや目標を考える上で基本となるのが指針です。自ら将来何になりたいか、何をしたいのか、何を所有したいのかといったビジョンを考える上においても自らがどのような生き方をしたいのかが問われてきます。就職活動に当たってもどこの会社に入るといった入社ではなく、将来どのようなキャリアビジョンを持っているのか、何をしたいのかそのためにはどこの会社に入るのかといったキャリア教育が盛んですが、キャリアを考えていく上においても自らの生き方が基本となってきます。

4. 指針(生き方)を変えるとき、変えざるをえないとき
自らの生き方を変えたり、変えざるを得ないときはどのようなときでしょうか、
毎年、新年に今年の抱負を語ったり年賀状にその想いを書いたり、学生の場合は新学期を迎えるにあたって抱負を語ったりします。しかし、これらは生き方を変えるというより行動指針を見直したり、新たに設定するといったほうが適切であるかもしれません。生き方を変えるということはよほどでないとできないのかも知れません。
   セルフ・エンパワーメント構造モデルでも示しているように「人間力」のベースには「体力」、「人間力」の上には「ビジョン実現力や目標達成力」があります。どうやらこれらの「体力」と「ビジョン実現力・目標達成力」が脅かされたときに見直しを行っているようです。

1) 「体力」が理由となるもの
  これは仕事に一生懸命になりすぎて健康を害し大病を患ったり、加齢により体力が低下してるのを実感せざるを得ない場合です。このような経験をすると自らの身体をいたわったり健康を大切にするような生き方を模索しはじめます。
  筆者も神戸で阪神淡路大震災を経験しましたが、東日本大震災を経験した人も命を大切にした生き方を見なすのもこの命や体力、健康が理由となるものです。

2) 「ビジョン実現力、目標達成力」が理由となるもの
 ビジョン実現力や目標達成力が理由となるもには2つの種類があります。ひとつは、
ビジョンや目標が達成されることによって今後の生き方を見直して行くものと、個人事業家が事業が失敗したり倒産することによって、今までとは違う生き方を考えざるを得ない場合です。前者はこれからはもっとスローライフを模索したり、後者は自らの事業の失敗経験を活かしたり見直したりする生き方を模索するのがビジョン実現力、目標達成力が理由となるものです。

5.指針を再構築するとき
最近、企業研修の受講生が対応しなければならない対象者が外国人のケースが増えています。交渉やコミュニケーションの相手であったり、チームメンバーであったりします。国内の企業組織の中にいる場合は実感しないのですが、中近東、アジア、南米などで技術指導したりプラント建設を行っていく場合、日本から出張している企業人が直面するのは人間力です。確かにコミュニケーションを行ったりパートナーシップを構築していくためには、語学や相手の文化や価値観を理解することは不可欠ですが、彼らと対等にビジネスを行っていく上で日本人が直面するのは、自らの生き方です。彼らの生き方や行動に大きく影響を与えているのが宗教です。特に原理主義の場合は、彼らの食生活や日々の行動や労働観は教義そのものが大きく影響を与えています。日本の企業で働いている場合、それほど自らの指針を問われる場合は少ないのですが、異文化の中で仕事をしていくときに問われるのが自らの指針です。企業への忠誠心や上司の指示を超えた自らの指針を構築していくことが問われています。

6. 日本人としての指針
   日常生活をしていく上において自らの生き方である指針を持つとか、考える機会はあまりありません。皆とともに生き、自然と共に生きてきた日本人にとってはなじみにくいのかも知れません。日本人にとって比較的なじめるのは座右の銘かもしれません。よく著名人のプロフィールを紹介するときにも座右の銘が記されているのは、その人の生き方を垣間見ることができるかも知れません。また就職活動のとき履歴書などに記載したりして学生の生き方を知る手がかりにします。
最近、20代の女性の60名の研修を行ったときにも自らの生き方を考えてもらうために座右の銘や好きな言葉を書いてもらいました。最近の若い女性がどのような座右の銘を持っているのかを紹介します。数多くの座右の銘が出てきましたが4人に1人が書いていたのが一期一会でした。その他複数記載したものも合わせて紹介します。

1.一期一会 
2.感謝(ありがとう)
3.継続は力なり
4.明日は明日の風が吹く(なんとかなるさ)
5.成せばなる
6.努力はうそをつかない

  このように座右の銘や仕事や対人関係でこころがけていることは何かと意識することはありますが、日本人として、人間としてどのよう生きていったらよいかについて考える機会はなかなかありませんでした。ところが今年の3月11日に東日本で大きな震災がありました。多くの人が命や住む家そして仕事をなくしました。また福島の原発の問題では利便さとは何か、文明とは何か、技術とは何かなど日本列島に住む日本人にとって大きな課題が今突き詰められています。
最後に、日本人としてのこれらの問いを考え、今後の生き方を考えるに当たって冒頭に紹介したモンテーニューが16世紀にフランスで書いている内容が筆者の心を打つものがありましたので紹介させていただきました。

 「私はわれわれが万物を利用していることを否定しないし、自然が強力で多産であり、われわれの欲求を満たしていることを疑わない。川ますや燕が自然の中できわめて愉快に暮らしていることもよく知っている。だが、われわれの精神や学問や技術が考え出したものに対しては、不信を抱いている。われわれはそれの肩をもつあまり、自然と自然の掟を捨て去って、節度と限度を守ることができなくなっている。技術がわれわれの偉大で力強い母なる自然よりも名誉を得ているというのは、不合理である。われわれは自然の作物の美しさと豊かさの上に、あまりに多くの作為を加えすぎて、これをすっかり窒息させてしまったのだ。けれども自然はその純粋さの輝くあらゆるところで、われわれの無益にして軽はずみな試みに赤恥をかかせている」

          メンタルケアとメンタルサポート

心のゆとり

土居健郎(どい たけお)氏は『「甘え」の思想』(弘文堂)の中でゆとりについて次のように記述しています。「私はいろいろな患者を診ることがあるが、心の病気になる人は、みんな「ゆとり」をなくしている。まずゆとりのない人しか病気にはならない。ゆとりのない人はみんな病気になるわけではないが、病気になる人はみんなゆとりがないといって間違いではない。ゆとりというのは精神的価値に深く関係している。ゆとりとは表にある価値と裏にある価値と二つあって、裏の価値が表にある価値を超えている、実はそっちの方が高いということが見通されているときに生まれる心の落ち着き、それがゆとりである。だからゆとりとは隠れているものである」

SPトランプによるメンタルケアとメンタルサポート

 自分に対するメンタルケア

1.自分にぴったりくるSPトランプを10枚選ぶ
   10枚に満たない場合は何枚でもよい
2.自分にぴったりくるように配置する
   心の中をレントゲンをとったかごとく配置する
3.気になるSPについて心許せる人に聴いてもらう
                                     
4.デジタルカメラなどで2の内容を保存しておく
特に心が疲れているときに実施してみる。
身近に聴いてもらえる人がいない場合でも、選び配置するだけでも心の中を見ることができる。
特に気になるSPが出てきている場合は、なぜそのSPが出てきているかを自己傾聴する。
【参考データ】
A 心が疲れると黒いマーク(クラブ・スペード)のSPが増える傾向にある
                        
B 心が疲れると数字が低いSPが増える(Aは1)傾向にある
                         A~6
よって以前の4の記録と比較してA,Bの傾向がある場合は心許せる人に特に気になるSPを聴いてもらう


他者に対するメンタルサポート
上記の1、2を部下やメンバーに(相手の了解をとって)実施してもらう
そして相手の気になるSPを聴く

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